支援する立場から、現場の最前線へ。土屋社長との出会いが導いた決断Q. 白崎さんのこれまでのキャリアを教えてください。私は大学卒業後、農業分野に特化した人材紹介会社に入社し、約2年間、全国の農家の採用支援に携わりました。高校・大学を通して農業分野の勉強をしてきたため、将来的には就農したいという思いもありましたが、「まずは外の世界で経験を積んだ方がいい」という周囲の勧めもあり、学生時代にインターンをしていた会社への入社を決めたんです。しかし実際に働いてみると、一日中パソコンに向き合う働き方は自分には合わないと感じ、やはり現場で農業をしたいと考えるようになりました。そんな折、面識のあったアグレスの土屋社長から「埼玉事業部の農場長をやらないか」と声をかけてもらい、転職を決めました。アグレスには2018年に入社し、今年で8年目になります。Q. 土屋社長とは、どのように出会ったのでしょうか?私は大学在学中に学生団体を立ち上げ、学生と農家をつなぐ活動をしていました。その背景にあったのは、園芸学部に所属していた自分の周りですら、農業分野への就職を考える学生がほとんどいなかったという課題感です。そこで、農家への訪問やマルシェの開催など、学生が農業に興味を持つきっかけとなるような取り組みを企画・運営していました。土屋社長とは、団体立ち上げの準備をしていた時期に、農業関連のイベントで出会いました。それからアグレスには学生の受け入れで何度も協力していただき、社会人になってからも個人的にアグレスのイベント運営を手伝ったりと、交流が続いていたんです。Q. 学生団体や前職での活動を通じて多くの農家や農業法人との関わりがあったなかで、アグレスを選んだのはなぜですか?アグレスに惹かれた理由の一つは、当時20代前半だった自分と同い年のメンバーが活躍していたことです。訪問先の農家や農業法人で同年代に出会うことは滅多になかったので、最初から親近感がありました。一番の決め手となったのは、土屋社長の存在です。経験の浅い私の意見にも耳を傾けてくれる懐の深さがあり、年齢も私の5つ上と農業界では珍しい若さで、とても親しみやすい方でした。また、関わりのあった農家や農業法人の中で、毎回「一緒に働こう」と声をかけてくれたのも土屋社長だけでした。正直、未経験の自分がアグレスのように挑戦的な農業法人でやっていけるのか不安もありましたが、土屋社長が何度も声をかけてくれたことで「ここで挑戦しよう」と覚悟を決めることができました。埼玉は、新しい仕組みを試す実験場。アプリ開発や共同出荷にも挑戦Q. アグレスで経験してきた仕事内容を教えてください。1年目は山梨に住み、露地部の立ち上げメンバーとしてレタス・白菜・キャベツの生産に携わりました。主に定植や収穫を担当し、実習生とともに現場作業に打ち込む日々でした。翌年には、埼玉事業部に初の専任社員として赴任。当時は近隣農家からの作業受託のみを行う拠点だったのですが、私の着任を機に自社栽培を開始することになり、白菜やブロッコリーを中心に、土地に合った栽培方法を模索しながら確立していきました。当初は1人でのスタートでしたが、今では正社員4人のチームに成長。現在、私は農場長として外部取引や事業運営、拠点整備を担いながら、必要に応じて現場にも入っています。社長には最低限の報告のみ行い、大きな裁量を持って現場を任せてもらっています。Q. 農場長に就任したのは、どのような経緯だったのでしょうか?埼玉事業部は2015〜2016年頃、冬季の仕事を確保するために発足しました。山梨や長野では冬に仕事が少なくなるため、社長の縁で埼玉・上里地域の出荷組合から収穫などの作業受託を始めたのが出発点です。当初は社長や社員が交代で現場に入り、常駐社員はいませんでした。しかし家庭を持つ社員が増え、冬だけ埼玉に通う体制の維持が難しくなったことから、専任社員を配置することになり、私に白羽の矢が立ったんです。埼玉での自社栽培がスタートしたことで、現在は山梨・長野・埼玉の3拠点で通年生産・出荷が可能な体制が整っています。Q. アグレスの中で、埼玉事業部はどのような立ち位置なのでしょうか?社長からは「新しい仕組みを試す実験の場」と言ってもらっています。例えば現在取り組んでいる効率的に作業記録を行うための自社アプリの開発では、私がSEと直接やり取りをしながら、まず埼玉でトライアル運用を行い、形になったものを他拠点へ展開することになっています。また最近では、地域農家との共同出荷の仕組みづくりも始まりました。アグレスの取引先である長野県の青果仲卸に向け、埼玉エリアの農家が生産した野菜をアグレスの物流網でまとめて出荷する取り組みです。社長が掲げる「地域の農家のインフラになる」という目標を、埼玉の地でも少しずつ実現できていると感じています。Q. 埼玉事業部で育てている野菜の特徴を教えてください。埼玉というと温暖なイメージがあるかもしれませんが、私たちの農場がある上里は、冬はマイナス5度まで冷え込みます。さらに群馬県の赤城山から「赤城おろし」と呼ばれる冷たく乾いた風が吹きつけ、野菜が凍りつくほど厳しい環境です。こうした寒さや昼夜の寒暖差によって、野菜はぐっと甘みを増して育ちます。また、私たちは特定の農法に固執せず、試行錯誤を重ねながら「どうすれば良いものを安定的に届けられるか」を追求してきました。その結果、取引先からは「毎回、同じ品質の良い野菜が届く」「色持ちが良く、他産地より黄変が遅い」「白菜は甘みがとても強い」といった評価をいただいています。最近では私たちの畑を見た地域の農家の方々から栽培方法について相談されることも増え、その点からもいい野菜を育てられている手応えを感じています。例えるなら、登山ではなくクライミング。想像を超える経験を重ねた6年間Q. 記憶に残っている「挑戦」のエピソードを教えてください。農場長になってからの6年間、そのすべてが挑戦でした。なかでも印象深いのは、着任直後にゼロから農場を立ち上げた経験です。経験が浅く右も左もわからない状態でしたが、社長や作業受託先の組合長に相談しながら試行錯誤を重ね、安定した収量を確保できる栽培方法の確立に取り組みました。品種や資材、栽培時期を変えてデータを取り続けたり、専門家と連携して土壌分析や改良を進めたりと、できる限りのことを積み重ねました。その結果、3年目から成果が現れ始め、5〜6年目には過去最高の収量と品質を実現できました。振り返ると、自分でも「ここまでできると思っていなかった」と感じます。山を登るというよりも、垂直の壁をよじ登るクライミングのような6年間でした(笑)。Q. どんな時に、仕事のやりがいを感じますか?一番は、自分が考え抜いた方法で成果を出せたときです。農業は天候に左右され、思い通りにいかないことも多いですが、試行錯誤の結果が数字や品質として表れると、大きな達成感があります。また近年はメンバーも増えてきたので、メンバーの皆が成長していく姿を見るのも大きなやりがいになっています。Q. アグレスで「すごいな」と思った人と、そのエピソードを教えてください。昔から在籍しているベテランメンバーです。ベテランメンバーは農業以外のバックグラウンドを持つ人が多く、重機の操縦や機械の整備、ハウスの建設、水道・電気工事まで何でもこなします。まさに「百姓」という言葉がぴったりで、オールラウンダーとして圧倒的な存在感があります。そうした先輩たちには、まだまだ敵わないなと感じますね。骨をうずめる覚悟を胸に描く、“農業のテーマパーク”構想Q.「今後のキャリアビジョンを教えてください。独立を考えた時期もありましたが、アグレスでは大きな裁量を持ち、自分のやりたいことに挑戦できています。こうした環境のおかげで独立へのこだわりはなくなり、社長にも「アグレスで骨をうずめます」と伝えています。だからこそ私の目標はシンプルで、埼玉事業部をさらに大きく育てていくことです。将来的には、果菜類や根菜類、さらには米や果樹にも挑戦し、生産の幅を広げていきたいです。最終的には、生産・加工・販売・体験を一体化させた“農業のテーマパーク”のような存在になれたら面白いなとも考えています。アグレスは現在、日本の食を支えるために、安定的に多くの野菜をつくることに力を入れていますが、その積み重ねの先に、多様な作物を育てられる環境を整えたい。そして、教育や体験の場としても活用できる農場をつくっていけたらと考えています。Q. 「農業の未来」について、考えていることはありますか?食糧生産の面では、私たちのような大規模生産を行う農業法人の存在は欠かせません。しかし同時に、地域社会や景観の維持という観点では、大規模法人だけでは支えきれない部分があると感じています。実際、上里でも60~80代の兼業農家の方々が用水路の草刈りなどをしてくださっているおかげで、地域の景観が守られています。もし「大規模で儲かる農家」だけが生き残る社会になってしまえば、地域は衰退していってしまうのではないでしょうか。だからこそ、私たち自身が成長するだけでなく、小規模農家が生き残れる仕組みづくりも必要です。アグレスとしても、共同出荷などの取り組みを通じて、地域の農家を支える仕組みをつくっていきたいと思います。Q. 最後に、アグレスへの入社を検討している方々へのメッセージをお願いします。農業は正直、決して楽な仕事ではありません。天候に左右され、繁忙期は長時間の労働になることもあります。しかし、その分やりがいも大きい仕事です。アグレスでは経験を積むほどに裁量が広がり、自分のやりたいことを実現していけます。今やアグレスは日本でもトップクラスの生産量を誇る農業法人へと成長しており、将来的には日本の農業をリードする存在になれるはずです。少しでも興味を持ってくださったなら、ぜひ一緒に農業界を盛り上げていきましょう!Q. 入社を検討している方々にメッセージをお願いします。農業が好きな方、大歓迎です! アグレスではトラクターなどの重機に乗る機会も多く、機械が好きな方や乗り物が好きな方にも向いている職場だと思います。会社見学やインターンシップも随時受け入れているので、まずは現場の雰囲気を体験してみてください。一緒にアグレスで、新しい農業にチャレンジしていきましょう!