農業未経験から、ハウス110棟を任される農場長へQ. 雨宮さんのこれまでのキャリアを教えてください。私は高校卒業後、新卒で和紙の製造会社に就職しました。しかし昼夜逆転するような交代勤務で生活リズムが安定しなかったことや、上司との関係性に悩んでいました。そんなとき、現在も一緒に働いている手塚くんからアグレスに誘ってもらったんです。彼が楽しそうに働いていたことや、夏は忙しいものの冬は比較的自由に過ごせる働き方に魅力を感じ、転職を決めました。アグレスでは人間関係にも恵まれ、気づけば今年で入社13年目になります。Q. アグレスで経験してきた仕事内容を教えてください。入社以来ずっと、長野県・野辺山の拠点でほうれん草の生産に携わってきました。最初の2~3年は、収穫後の野菜を出荷できる状態に仕上げる調整室で、選別・計量・梱包などの作業を担当。その後は数年ごとに、栽培と調整室の業務を交互に経験しました。その後は、ほうれん草栽培の要である潅水(水やり)や、パートスタッフと共に行う収穫作業、翌日の収穫計画の策定なども担当しました。6年目からは農場長に就任し、現在はハウス110棟の栽培管理や潅水に加え、種まきや施肥の計画づくりなど、担当する圃場全体の運営管理を行っています。Q. 農場長に就任したのは、どのような経緯だったのでしょうか?農場長になったのは、会社が組織を再編したことがきっかけです。それまでは社長と専務という2つの役職しかなかったのですが、社員の増加や埼玉事業部の立ち上げに伴い、「農場長」という形で現場を任せられる人材が必要になったのだと思います。その際、ほうれん草担当としては私が最も古株だったため、その役割を任せてもらうことになりました。100名規模のチームを束ねる、日本最大級のほうれん草農場Q. 1日のスケジュールを教えてください。繁忙期は朝6時半に出社し、畑の様子を確認してその日の潅水場所を決めるところから始まります。その後、7時から社員で段取りの確認、7時20分からパートスタッフも交えた全体ミーティングを行い、7時40分頃から収穫作業がスタートします。私は社長やもう一人の農場長と畑を回って作業の方向性を確認した後、潅水作業に入ります。午前中はほとんど潅水にあて、午後も畑を回って翌日の作業計画を立てた後、再び潅水へ。担当しているハウスは110棟もあるため、繁忙期には一日中潅水に追われることもあります。退勤は18時頃、遅いと19時頃になることもあります。一方冬は栽培計画が中心で、勤務時間も9時~16時程度と短く、年末年始には約3週間の休暇もあります。Q. チームの体制を教えてください。現在、ほうれん草部は農場長2名による2チーム体制で運営しています。各チームには農場長のほかに社員が1名ずつ所属し、さらに調整室にも社員が1名います。加えて、外国人実習生約20名、パートスタッフ約100名も在籍。パートスタッフには、主に収穫が本格化する5月中旬から11月中旬にかけて活躍してもらっています。総勢100名規模でのほうれん草栽培はすでに日本最大クラスですが、今年から新しい圃場が一か所増えたため、今後は3チーム体制への拡大も見据えています。Q. 10年以上ほうれん草栽培を続けてこられたのは、どんな魅力ややりがいがあるからですか?「飽きる・飽きない」という感覚自体、そもそも自分にはあまりないように思います。それに、毎年天候などの条件が違うので、同じように野菜ができる年は一度もないんです。そうした意味でも、飽きを感じたことはないですね。農業は一見単純に見えて、実はとても奥深い仕事です。ただ種を蒔いて水をやれば育つわけではないし、土づくりは成果が出るまでに2~3年かかることもある。そうした地道な積み重ねが形になるプロセスに農業の面白さを感じますし、その気持ちは13年経った今も変わりません。Q. アグレスで育てているほうれん草の特徴を教えてください。アグレスが拠点を置く野辺山は、標高1,300mの高原地帯です。日中は日差しが強く、朝晩はぐっと冷え込む──そんな気候の中で育ったほうれん草は、甘みが凝縮され、シャキッとした肉厚な食感が特徴です。お客様から「おいしい」と喜んでいただけるので、私たちも自信を持っておすすめできるほうれん草になっています。自らの発案で、微生物を活用した土づくりに挑戦Q. 記憶に残っている「挑戦」のエピソードを教えてください。自分の発案でバチルス菌や酵母菌の培養に取り組み、土づくりに活用したことです。きっかけは、ある年に社長が講師を招いて開いた社内勉強会で、菌の活用について学んだことでした。最初は育苗ハウスの一角で小規模に試しましたが、翌シーズン前には3〜4畳ほどの専用ハウスを建て、本格的に培養を開始。実際に土に混ぜてみると、収穫後に畑に残ってしまう根の分解が早まったり、酵母菌の働きでガスが発生し土が柔らかくなったりと、手応えを感じられる成果もありました。こうした挑戦に対して、社長はいつも前向きに背中を押してくれます。この取り組みについても、「やってみればいいじゃん」と即座にゴーサインを出してくれました。Q. アグレスで働く魅力はどんな点にあると感じますか?アグレスの一番の魅力は、人間関係の良さです。みんなフレンドリーですし、社長も社員をとても大切にしてくれています。休暇制度も特徴的で、一般的な休暇に加え、自分や家族の誕生日に休みを取れる「アニバーサリー休暇」、さらにはプロポーズのための「プロポーズ休暇」まで用意されています。社員を思う気持ちから、アグレス独自の制度がつくられているんです。また、従業員とその家族が一緒に参加できるバーベキューなどのイベントもあり、イベント好きな社長のもと、仕事以外でも社員同士が交流できる場が用意されているのも魅力の一つです。野菜づくりに留まらず、「百姓」として多彩なスキルを磨ける場Q. 今後のキャリアビジョンを教えてください。当面の目標は、毎年安定して成果を出し、会社を着実に成長させていくことです。1年1年を大切に積み重ねることで、5年後、10年後に強い会社になれると考えています。そのために、栽培方法の改善や新しい取り組みに挑戦しながら、会社に貢献していきたいです。こうして自然と「会社のために頑張りたい」と思えるのは、社長の人柄が大きいと思います。社員やパートスタッフ、実習生をとても大切にしてくれる方なので、「この人についていこう、この人のためにも頑張ろう」と心から思えます。Q. 「農業の未来」について、考えていることはありますか?変化の大きい世の中ですが、農業という仕事は今後も決してなくならないと思います。人手不足に対応する省力化やスマート化などで、形は変わっていくかもしれませんが、食を支える産業として農業そのものは残り続けるはずです。また、農業は人が一生を通じて関わっていける仕事でもあります。実際、アグレスでは80〜90代のパートスタッフが元気に働いており、健康にも良い仕事だと感じます。そうした姿を見ると、数十年後の自分がどんな働き方をしているかはまだ想像もつきませんが、農業がある限り、自分も何らかの形で関わっていけるはずだと思っています。Q. 最後に、アグレスへの入社を検討している方々へのメッセージをお願いします。アグレスの特徴は、とにかくなんでも自分たちでやることです。畑づくりは開墾から始め、ハウスの建設や水道・電気工事、重機を使った土木作業まで、自分たちの手で行います。そういう意味で、アグレスの社員は「農家」というより「百姓」と呼ぶ方がしっくりくるかもしれません。農業に限らず多様なスキルを身につけたい方や、自分の手で仕事をつくりあげる面白さを味わいたい方にはもってこいの環境だと思うので、少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひ飛び込んでみてください!